『ラ・ロシュフコー箴言集』の随筆メモ その2

『ラ・ロシュフコー箴言集』の随筆メモ その2。愚考垂れ流し中。

思索を深めたい方や本の購読を検討中の方は、ヒントや思考の呼び水としてご活用下さい。既読の方も、自分の感想と比較などしてお楽しみ頂ければ幸いです。低レベル過ぎたらごめんなさい。

403

われわれは生涯のさまざまな年齢にまったくの新参者としてたどり着く。だから、多くの場合、いくら年をとっていても、その年齢においては経験不足なのである。

やっぱり年齢で人を判断するのは間違っているのかもしれない。
少なくともこの言葉の通り、年齢水準の見識を求められることは大抵の人にとって荷が重い気がする。
また、一年が過ぎた所で、一年分の成長があるかどうかは時と場合と人による。
残念ながら、成人が皆成人の精神を備えているとも限らない。
少なくとも私は幼稚である。そんな引け目もあり、個人的には他人を年齢で決め付けたりしないように気を付けている。我が身可愛さな点を責められたら気不味いが、結果として他人に寛容になれたので勘弁して欲しい。

409

われわれの最も立派な行為も、もしそれを生み出したすべての動機を世間の人に見抜かれれば、われわれはしばしそれを恥じることになるだろう。

それはおそらく裸を見られる恥ずかしさであって、人道的に恥じるべきことはそれほど多くないと思われる。
負の面込みで立派な行為が生み出された事が明らかになったとしたら、不完全な殆どの人間に勇気を与えてくれるはず。有名人が失敗談で好感度を上げる構図。

410

友情にとって最大の冒険は、自分の欠点を友達に明かすことではない。友達の欠点を彼自身に見させることである。

欠点だらけの自覚はある。友人達よ、バッチ来い。君達を冒険家にしてやろう。

親戚のY君よ、直接言うのは気不味いので、この場を借りて告白します。君は偶に、凄く口が臭くなります。前まではそこまで気にしてなかったのですが、最近はあなたの内臓が心配です。体に気を付けて下さい。いつか本人に届きますように……。

411

人は、欠点を隠すために弄する手段より以上に許しがたい欠点など、めったに持っていないものである。

「より以上に」←おそらく訳者の文章ミスだと思うが、気になって仕方がない。加えて、手段=欠点という言い回しが気持ち悪い。たぶんこちらもミス(ひょとしたら著者の? もしくは英語と日本語でニュアンスが違うせい?)。前者のミスが目立つ分、後者の変な所が分かり難くて気持ち悪さが長引いた。ちなみに本書は第47刷である。

そういえば、本の著者にだって間違いはあるという事に幼心で(中学生くらい?)気付いて以降、読書がやや楽になったような覚えがある。本への盲信が解けたのだと思う。
それまでは、千差万別の文章を全て余さず受け入れなければいけないような気がしていて、理解の及ばない文章を読み解くのに一々消耗していた。分からないということは読書上の障害であり、雑音であり、あるいは自身の未熟としか考えられなかった。前向きな好奇心が入る余地など無かった。素直さが裏目に出ていたのだろう。
小説が好きなのはその反動かもしれない。読書に当たり前に楽しみを求めて良い状況が嬉しいのかも。
何はともあれ、読書嫌いから早めに脱却できて良かった。

何かが苦手だという場合、それは本人の気質ばかりが原因ではない。環境による影響は確実にあるはずだ。また、原因や改善策を知っている知識や言葉では理解し切れなかったり、言語化すら難しいのかもしれない。
人の不出来を責めたい人は、あらゆる要因を検討してから責めて欲しいものだ。
いやそもそも責めるな。上手くできない上に人から不機嫌までぶつけられるのはキツい。踏んだり蹴ったり、泣きっ面に蜂。誰かを怒る時は、悪意を感じる場合もしくは不注意の時くらいで十分では? それら以外の怒りは大概思考停止の甘えだと思う。

412

われわれは、たとえどれほどの恥辱を自ら招いたとしても、ほとんど必ず自分の力で名誉を挽回できるものである。

大分前向きな台詞。どうしたロシュフコー。変な物食べた? 食べて気が狂う変な物って、毒キノコ以外思い付かないけど、他にあるのかな?

それはさておき、この言葉はその通りだと思う。そう思いたい。
実際、自分じゃなく他人の恥ずかしい所なんてそんなに興味無いしね。
また、からかいの誘惑に駆られる事はあっても、その人を傷付けたいなんてそうそう思わない。仮に、誰かを傷付けたい・心を歪めたいと思っている人が居たら、それは少なくとも社会的に肯定できる状態じゃない。そんな相手を気にかけて恥ずかしさに消耗してしまうのは、社会に費やすべきエネルギーを廃棄してるに等しい。心の違法投棄。
そんなこんなで羞恥心に囚われる必要はない上に、人は生きてりゃ学んで成長するので、その内名誉に引っかかります。

分かったか自分よ! (セカンドパーソン・セルフトーク)

413

一種類の才気しか持っていないと、人を長く楽しませることはできない。

現代で言われてる事と同じ。
この言葉自体は同意するが、果たして人が才能を一個しか持ってないなんて事はあり得るのか?
市場の問題、受け手の問題もあると思う。人の潜在能力を発見する、それを受け入れる余地を予め作っておく社会にできたら素敵臭い。
これは匂うぞ! 匂いの最高峰ってフェロモン? これはセクシーと言っても過言ではない! 英語圏で政治とかに使われると言うセクシーという表現の由来ってこんな感じ? 意味伝わる?

414

気違いと馬鹿は気分でしか物を見ない。

それだー! って考え無しに飛びつくだけでは俺も馬鹿かな?
一旦考え直して、やっぱり激しく同意。

事の是非以前にお前の不機嫌を無遠慮にぶつけてくんな。反対意見を言ったら不機嫌になるな。俺が黙ってしまうのは、言い負かされる前にお前の態度や自己中論理、価値観、思考能力にウンザリするからや。本当に勘違いせんでくれ。お前に時間とエネルギーを使いたくないんじゃ。使わなくても無理矢理奪いに来るのもマジで止めろ。そんな態度や屁理屈では反感は膨れ上がるばかりやぞ分かってんのか? 分からんだろうなお前には。お前が育て上げた立派な反感によってお前の言葉なんか既に何の価値も無いんじゃ。何故気付かん。意味が分からん。おそらく勝ち負けとか羞恥心とか不愉快とかで反応してるんだと思うが。期待は大概裏切られるから、お前の事なんかもう分からん。考えたくもないのに、生活圏が近くて自然と視界に入るから俺は辛い。人の多様性の価値を、そこから生じる対話の価値が分からんならお前はホンマに黙ってくれ。

本人に見せることはないだろうけど、吐き出させて貰いました。

感情的になってしまったが、意見をちゃんと論理的に言えてるだろうか。それを自分で判別できる知識が無い時点で、自分はどちらかと言うと感情論者すなわち気分で物を見る側では? そういえば、自分は攻撃的な人が嫌いなだけで、理性的とは必ずしも言えないかもしれない。理性や論理を鍛えられるように励みます。

424

われわれは実際に持っているのと正反対の欠点で自分に箔をつけようとする。気弱であれば、自分は頑固だと自慢するのである。

私は不器用だ。←辛抱が効かずボディコントロールが下手くそで頭も回らない。

考えててちょっと悲しくなる。事細かに自虐したって雰囲気は良くならないのだから、対外的にはそういう表現法で良いのでは。

欠点で欠点を隠している、というのは自己認識を掘り下げる際には良い着眼点。この間に落ち込まないように注意が必要。心配スケジューリングやセルフ・アクセプタンス、2分コミットメント等のテクニックとの併用が有効と思われる。

ありがちだが、欠点でないかのように言い換えた方が精神衛生上良い時が多そう。気弱=静かで心優しい等。

話題がちょっとズレた。この言葉の焦点は「実際の欠点とは正反対の欠点で自分に箔を」という点のはず。
駄目だ自分に箔をつけるような台詞が他に思い浮かばない。またいつか。

425

洞察力には予言するような趣があって、精神の他のすべての資質にも増してわれわれの虚栄心をくすぐる。

空気を読む能力が洞察力に近いと思ったのでハッとしたが、虚栄心というワードとはあまり関連性がない気がする。いやしかし、空気が読めないと恥ずかしい印象があるから、羞恥心という感覚から辿れば虚栄心に繋がりそう。周囲に迎合して安心する感覚は虚栄心の類か?

虚栄心の意味:自分を実質以上に見せようと、みえを張りたがる心。(デジタル大辞泉より)

自分は空気を読める人間だとアピールしたいがために無理をした時、それは虚栄心による物だと言える。
誰か上位と思しき人間の仲間と思われたいという心は虚栄心。
自己防衛のための迎合や安心は、虚栄心とは異なる心理。

435

運と気質が世を支配する。

個人の信念であるなら特に口を挟むつもりはないが、こんな事を他人に言ったところで、何も言っていないのと同じではないか? 思考停止の類に見える。賛成しても、何か学びがあるとも思えない。諦めから生じる吹っ切れくらい? 否定しても、心地良い議論になりそうもない。

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